2012年02月28日

審判便覧(第14版)に対するパブリックコメント

1月30日に公示された審判便覧の改訂(第14版)に対する意見募集。締め切りは29日まで。
http://www.jpo.go.jp/iken/shinpan_binran_iken_14.htm

今回送ったコメント:
61-05頁の5(1)

 本項には、特許出願の拒絶査定不服審判において、補正を却下するときに拒絶理由を通知する必要はないことが記載されているが、「新たな拒絶理由により補正を却下する場合であって、その拒絶理由が補正前から存在しており、通知すべきであったのに通知していなかった場合」の取り扱いを規定すべきだと考える。
 (1)新たな拒絶理由で補正を却下するということは、補正後の請求項においては原査定の拒絶理由は解消していると考えられること、そしてもし原審段階でその新たな拒絶理由が通知されていれば、原審段階でその新たな拒絶理由は解消できていた可能性があることを考えると、請求人に補正と反論の機会を与えなければ、原審段階の審査が不十分であったことの瑕疵が補われない。(2)そもそも「特§159②」は、拒絶理由を発見した場合は通知することを定めている。以上を考慮すると、補正前から存在しており、通知すべきであったのに通知していなかった拒絶理由を基に補正を却下する場合は、補正却下にあたって拒絶理由を通知する必要はないとしても、補正却下後のもともとの請求項に対して、その拒絶理由を通知するべきではないか


特許法159条2項および163条2項には、「査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合」には、50条に基づいて拒絶理由を通知しなければならないことが規定されている。但し、50条には、補正を却下する場合は「その限りではない」と規定されており、補正却下にあたっては拒絶理由を通知する必要はない。

これに基づいて特許庁は、拒絶査定不服審判において補正(前置補正)された請求項に対して、出願人に通知していない全く新しい拒絶理由を探し出して、出願人に通知することなく前置補正を却下し、請求項を拒絶査定時の請求項に戻した上で、拒絶査定時の請求項については、拒絶査定の理由をそのまま適用して拒絶を維持する審決や前置解除報告を行う運用がまま行われている。

その拒絶理由が、前置補正によって生じた拒絶理由であるのなら文句はない。しかし、その拒絶理由が、当初請求項においても存在しており、拒絶査定前の審査において通知すべきであったのに通知していない拒絶理由である場合は、その拒絶理由に対して反論や補正の機会を与えないのは明らかに出願人の権利を奪っているじゃないか?!

こうしたケースにおいては、これまでも数多く審決取消訴訟が行われてきたが、原告側の主張は「拒絶理由を通知せずに補正却下をしたのは違法だ」というものばかり。しかし50条には、補正を却下する場合は拒絶理由を通知する必要はないと規定されているのだから、違法性を問うことはできず、すべて負けている。

違法性を問う余地があるのは、「拒絶理由を通知せずに補正却下をしたこと」ではなく、「補正を却下した後の、補正前の請求項に対して拒絶理由を通知しなかったこと」だ。

補正後の請求項の発明には拒絶理由を発見して補正を却下しておきながら、同じ拒絶理由が補正前の請求項にも存在しているのに、あえて発見しないことにして拒絶理由を通知せず、出願人に補正と反論の機会を与えないまま拒絶査定を維持する審決を行う。そんな審決は159条2項違反ですよね?
ラベル:審判便覧
posted by Ichizo Sotoku at 08:00 | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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