2015年03月31日

[例図] 改良医薬品や後行医薬品の承認による特許延長


 前稿 (*1) において、特許存続期間の延長を認めるために本来求められるべき要件とは、「その特許発明が実施できなかったことで、特許権者が利益を受けていなかった」ことであることを書いた。 それでは、先行承認医薬品が存在する状況で改良医薬品や後行医薬品の承認を受けた場合に、特許権の存続期間の延長は具体的にはどのように判断するのが合理的なのだろうか?
 幾つかの例について、これまでに示してきた考え方に基づいた延長の図式を示す。

Sotoku, 通号4号, 1-10, 2015  (published online on 31-03-2015)

タイトル: どうなればいい? 先行承認医薬品が存在する場合の特許の延長

著者:  想特 一三 (Sotoku Ichizo)



延長の可否を判断するときの基本的な考え方は以下の通り。

● 医薬品が自分の特許の技術的範囲内である限り、基本的にはすべての承認で特許権の存続期間は侵食される (*2) ので、承認を受ける間にその特許権者らが代替性のある先行医薬品を販売して利益を得ていない限り、すべての承認で延長は認められる。

● 承認を受ける間、その特許権者らが代替性の高い先行医薬品を販売していた場合は、先行医薬品の承認に基づいて延長された特許の終期を当てはめる(例1)。

● 承認を受けたのが第三者であっても、その医薬品が自分の特許の技術的範囲内である限りは自分の特許を延長できる(例7および8) (*3) 。

● 承認を受けたのが特許登録前であっても特許は延長できる(厳密には登録時期と満了時期が共に後ずれする) (*4) 。

● 延長された特許権の効力に“幅”はない (その医薬品にしか及ばない)。 但しその医薬品との同等性試験により承認される後発医薬品に対する特許権は、同じ延長期間が適用される (例9)。

*1 Sotoku, 通号3号, 1-14, 2015
*2 Sotoku, 通号1号, 1-34, 2015
*3 Sotoku, 通号1号, 1-34, 2015 の 3ページの「例2」
*4 Sotoku, 通号1号, 1-34, 2015 の 26〜28ページ


 ********** 注) 2015/4/15
 「例7」および「例8」は第三者が仮に特許権者の先発医薬品の承認に全く依拠せずに承認を受けた場合で、有効成分が違うならともかく、有効成分が同じ場合は現実には考えにくいかも知れない。




例1  適用場面が重複するタイプの一部変更承認の場合

例2  「例1」において短期間で承認を受けた場合

例3  「例1」において変更事項に別の特許がある場合

例4  適用場面が重複しない効能を追加する一部変更承認の場合

例5  「例4」において追加した効能に別の特許がある場合

例6  DDSなどの改良製剤医薬品、組み合わせ医薬、有効成分の分子種が異なる医薬品などの承認を先行者が受けた場合

例7  DDSなどの改良製剤医薬品、組み合わせ医薬、有効成分の分子種が異なる医薬品などの承認を他者が受けた場合

例8  DDSなどの改良製剤医薬品、組み合わせ医薬、有効成分の分子種が異なる医薬品などの承認を他者が短期間で受けた場合

例9  通常のジェネリック医薬品(同等性試験に基づく承認)の場合



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